ホープチューン





なんでも言って?
砂漠のオアシスだって宇宙のよくわからないカタカナの星だって捕ってくるよ。君のためならなんだってしてあげたい。



ね、笑って?





「   はらっ・・・」



「ひーはーらっ」
「わっ!!先生  」
「授業中にボーっとするなよ。」
「す、すみません・・・」
「罰として今日集めたプリント、授業終わったら職員室まで運んでおくように。」
「そんなぁー!」



キーンコーンカーンコーン



「はあ・・・」




ため息しか出なくっておれのテンションはどんどん下がってく一方。授業中もボーっとしちゃって結果このざま。はあ・・・。 何やってんだおれ。1秒経てばまた彼女の顔が浮かんで、また1秒経てば今度は彼女のことを想ってしまう。まるで世界の中心 が君でまわってるみたいだ。



「本当のことだけどね、」
「何がですか?」
「えっ?」


ザザーッ


「か、香穂ちゃんっ!?」
「先輩っ、プリント!」
「へ」



おれが持ってたプリントはあたり一面にきれーいに落ちてた。やっちゃった・・・。そんな風に思ってたら香穂ちゃんはすばやく それを拾い集めてた。
「香穂ちゃんいいよっ、おれ拾うから。」
「気にしないでください。手伝いますからっ。」





あーもー何やってんだよおれ。カッコ悪い。彼女の前ではこんな姿見せたくない。もっとしっかりして、なんでも頼ってもらえる そんな先輩でいたいのに。こんなんじゃダメだ。




「   火原先輩?」
「えっ、あ ゴメン」
「これプリントです。もうすぐチャイム鳴っちゃうんで失礼しますね。」
「うん、ありがと。」



助けられるのはもちろん嬉しいけど、おれは助けたい。






「おーいパスパス」




昼は普通科の知り合いから誘われてバスケットボールをした。いつもはすっごく楽しいのに今日はあんまり気分がのらない。また 彼女のことばかり考えて、でも今は彼女がおれのことをどう思ってるのかそれしかない。



「よし、火原っ」



あれ?向こうにいるの香穂ちゃんだ。体操服ってことは5限は外で体育なのかな?そういえば香穂ちゃんの体操服姿ってあんまり 見たことな・・・




「     っ」




ぱちりと目が合った。



バンッ


「ぶっ  」





「火原っ!大丈夫か?」
「ったー・・・」




バスケットボールが顔面を直撃。
今日はなんでこんなばっか。しかも彼女の目の前で。ここでシュートの一本とか決めたら、なにか変ってたのかなあ。




キーンコーンカーンコーン
放課後のチャイムが鳴る。



練習のために屋上の階段を踏んで行く。冷たい金属のドアノブを握って扉を開けると、


「この音・・・」



聴きなれた心地良いメロディが聴こえた。


「火原先輩・・・」
「香穂ちゃん。」
「先輩も練習ですか?」
「うん、でも香穂ちゃんが練習してるみたいだから他の場所探すよ。」
「あっ、あの、よかったら合わせませんか?」




おれはもちろんOKして合わせられる楽譜を探した。君と音を重ねることができるなんてしあわせだよ。



「ガヴォットなんていいんじゃ・・・」
楽譜を取り出した瞬間。



ビュオーーーッ



突然の風におれの手にあった楽譜はすり抜けて空高くにパラパラと舞い上がった。


「先輩!楽譜が下に落ちてますっ!」
「え?えーっ!お、おれ拾ってくるっ」




5分後




全速力で走ったもんだから汗は止まらないし息は乱れるし、もうヘトヘト。



「大丈夫ですか?」
「・・・・・・」
「・・火原先輩?」


君はどう思ってる?おれのこと。カッコ悪いし、おっちょこちょいで柚木みたいに何でもできたり頼れたりしない。
こんなおれはどう映ってる?



「香穂ちゃん、おれにできることはない?」
「えっ?」
「何か、おれが君のためにできること。なんでも言って?」
「えっと・・・」




なんでも言ってほしい。些細なことでもいいから、君が笑ってよろこんでくれるのならどこにだってどんなことだって。



そう願ってないと悲しくて。
必死に君のスペースのなかに居場所をさがしてる。
消えたくなくて「ここにいるよ」ってトランペット吹いて。もっと近づきたい。





「じゃあ、ひとつだけいいですか?」
「うんっ・・なに?」
「その・・・」







「私のそばにいてください。」





「え、その」
「火原先輩にしかできないことなんです。」




やばい、すごくうれしい。
おれの気持ちは半音あがる。







(おれをしあわせにするのは君にしかできない)