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long time no see 「八木沢、お前、進路どうするんだ?」 先生からそう言われたとき真っ先に浮かんだのは彼女の顔だった。 「えっ?八木沢さん横浜に来るんですか?」 「ええ。首都圏の大学を見に行くのですが、横浜の大学も見に行こうと思っていて。」 僕は2ヶ月前に想いを通じ合わせた彼女に連絡をした。 「あ…でもそれなら会う時間ってない、ですよね?」 「いえ、横浜以外にも東京に行くので結構時間は取ってるんです。それに…」 「それに?」 「…会いたいと思ったから、電話をしたんですよ?」 「八木沢さん…」 せっかく久しぶりに会えるいい機会なんだ。逃すわけがない。 「じゃあ私、駅まで迎えにいきますね!」 「ありがとうございます。ではまた連絡します。」 彼女と会える。メールや電話だけでは伝えられない事がたくさんあります。 直接あなたに言いたい。そして…触れたい。 数日が過ぎて、約束の日が来た。 改札から出ると、そこにはずっと待ち望んでいた彼女がいた。 どうやら彼女も僕に気がついたようだ。 「八木沢さんっ!」 「小日向さん、こっちです!」 満面の笑顔で駆け寄ってくる彼女があまりにも愛らしく、 そのままこの腕の中に閉じ込めてしまいたかった。 「お久しぶりですね。」 「はい、2ヶ月ぶりですね。」 「元気そうでよかったです。」 「小日向さんの方こそ。」 久しぶりかどうかわからないけれど、 彼女と目を合わせて話すのが少し気恥ずかしかった。 「これからどこに行きましょうか?」 「僕は山下公園に行きたいと思ってますが、どうでしょう?」 「いいですね!そうしましょう!」 「はい。では、あの…」 「はい?」 「手を、繋ぎませんか?」 「……はいっ!」 彼女の手は柔らかく、そしてあたたかい。 僕が求めていたものすべてを満たすほどに。 「…ずっとこうして、あなたに触れたかった。」 「やっ、八木沢さん!?」 「どうしましたか?僕はこう見えても結構欲深い人間ですよ?」 「…っ!……欲深くても、いいと思います。」 僕はあなたが好きです。やさしくて可愛らしいあなたが、大切すぎるくらいに。距離も時間も関係ないことを、いつも証明してくれるのもあなた。久しぶりに会った今日この日も、すごくあなたを愛してる。 恥ずかしくて面と向かって言えない僕を許してください。そのかわりに僕は強く強く手を握り返した。 |