愛しい魔法






恋人同士って、こんなに会えないものなのかな?かなでは疑問に思っていた。大会が終わり、晴れて響也と恋人同士になった。けれどすぐに新学期になってしまい、一緒にいるのは登下校くらい。放課とかお昼は友達といるし、部活は大会が終わってからもバタバタしていて、一緒にいられる時間があまりない。かなではそれを寂しいと感じていた。 恋人同士はもっと一緒にいられるものかと思っていたからだ。でも現実は全然違う。



「会いたいなぁ…」



ポツリと自室のベッドの上で願望を溢してみる。
でも今は無理だ。夜も遅いし男子は女子寮には入れない。



「…朝には会えるよね。」



かなではそう呟き、眠ろうとした。
その時、窓の外からコツコツとした音が聞こえた。



「何だろう?」



風の音かと思ったけど、 何か違う。それにコツコツコツコツとしきりに聞こえる。不思議に思い窓におそるおそる近づく。そして深呼吸してから、かなではシャッとカーテンを思いっきり開けた。



かなりは夢でも見てるのかと思った。
なぜなら窓の外には会いたかった人、響也がいた。



「きょっ…!」



あまりにもビックリしたので思わず声をあげそうになった。しかし窓の外の響也が人差し指を口にあてて必死に主張したので、何とか抑えることが出来た。 とりあえず誰かに見られたらマズイ。かなでは窓を開けて響也を部屋に入れた。



「こんな時間にどうしたのっ?女子寮に来たらマズイよ…」
「どうしたのはこっちのセリフだ。」



響也は真剣な眼差しでかなでを見ていた。
久しぶりに近くで見る響也にドキドキしてしまい、思わず視線を外した。



「どうもしてないよ…?」
「隠してもわかるんだよ。かなで、寂しいんだろ?」
「………っ!」
「当たり、だな。」
「ど、どうしてわかったのっ?」
「わかるよ。ずっと一緒にいるんだから。」



ふわっと響也がかなでを包み込んだ。寂しさを全部取り除くように。
ぎゅっと。ぎゅっと。



「あんまり時間取れなくてゴメンな?」
「ううん、仕方ないもん。大丈夫。」
「無理すんなよ。甘えたい時は甘えてくれ。」
「……わかった。」
「またこうして会いに来るしさ。」
「…じゃあまた一緒にいられるんだね。」
「バーカ、ずっと一緒にいられるんだよ。」
「うん…」



もっと響也の近くにいたい。ずっと一緒にいたい。そんな気持ちを抱きながら、かなでも響也の背中に回した手に力をこめた。ぎゅっと。ぎゅっと。